
2026年9月20日

「前歯が出ているのが気になる」「早く治したほうがいいと言われて不安になった」。お子さまの前歯が気になって、この記事にたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。
先にお伝えしておきたいことがあります。出っ歯は、多くの場合、急いで治療を始めなければならない症状ではありません。
インターネット上には、早く始めるほどよいと書かれた記事が数多くあります。ただ、当院ではすべての歯並びについて早ければ早いほどよいとは考えていません。症状によって適した時期が異なるためです。出っ歯については、8歳ごろから始めても十分に対応できることが多くあります。
一方で、例外もあります。この記事では、出っ歯の原因、自然に治る可能性、そして急いだほうがよい場合とそうでない場合の見分け方をお伝えします。木場駅・東陽町駅からアクセスできるTHREE歯科・矯正歯科の視点からお話しします。
歯並びが乱れる原因の全体像については、子供の歯並びが悪くなる原因|遺伝と生活習慣の関わりもあわせてご覧ください。
目次
上の前歯が下の前歯より前に出ている状態を、歯科では上顎前突と呼びます。前歯どうしの前後のずれの大きさは、オーバージェットという指標で測ります。
見た目は同じ出っ歯でも、原因となっている場所は4つに分かれます。この違いが、治療方針と始める時期を左右します。
上あごの骨が前方に位置している場合。下あごが後方に位置している、または成長が控えめな場合。この2つは、あごの骨の位置が関わっているタイプです。
上の前歯が前に傾いている場合。下の前歯が内側に倒れている場合。この2つは、歯の傾きによるタイプです。
骨が関わるタイプと歯の傾きによるタイプでは、対応も時期も変わります。実際には両方が重なっていることもあります。見た目だけでは判断できないため、レントゲン検査で確かめる必要があります。

あごの大きさや形、歯の大きさには、ご家族から受け継ぐ要素があります。上あごが大きめ、下あごが小さめといった組み合わせを受け継いだ場合、前歯の前後関係にずれが生じやすくなります。
割合を数字で示す記事もありますが、はっきりとした根拠を確認することは難しく、お子さま一人ひとりで関わる要因の比重は異なります。
指を吸う動きは、上の前歯を前に押し出し、下の前歯を内側に倒す方向に働きます。出っ歯の原因として、最もよく知られているものです。
吸啜の癖と噛み合わせの関係については、2016年に発表された解析で、指しゃぶりは上の前歯が前に出る状態と関連が見られること、習慣が続く期間が長いほどリスクが高まることが報告されています。詳しくは指しゃぶりと歯並びの関係|悪い影響が出る時期と自然に治るかをご覧ください。
爪を噛む癖、下唇を噛む癖も、同じ方向に力が働きます。
口が開いた状態が続くと、唇が上の前歯を内側へ押さえる力が働きにくくなります。歯は外側から唇に、内側から舌に支えられて位置が保たれているため、この均衡が崩れると前歯が前に出やすくなります。
子供の口呼吸|原因・デメリット・治し方とお口ポカンとは|子供の原因と治し方・トレーニングもあわせてご覧ください。
舌で上の前歯を押す癖があると、押された方向へ歯が動きやすくなります。飲み込むときに舌が前に出る癖も、同様に働きます。
虫歯などで奥の乳歯を早い時期に失うと、後ろの歯が前に倒れ込み、噛み合わせのバランスが崩れることがあります。前歯の位置にも間接的に影響します。
前歯が生え替わったばかりの時期は、永久歯が大きく見えたり、やや前向きに生えてきたりするため、実際より出ているように見えることがあります。その後、隣の歯が生えそろうにつれて位置が落ち着いていくこともあります。
また、下あごは思春期にかけて成長します。下あごの成長が控えめなことが原因になっているタイプでは、成長にともなって前後の差が縮まることもあります。
一方で、指しゃぶりや口呼吸といった原因が続いている場合、自然に整うことは期待しにくくなります。骨格の位置が大きく関わっている場合も同様です。
つまり、自然に落ち着くかどうかは原因によって変わります。これも、まず原因を確かめる意味があるところです。

出っ歯は、小児矯正の中では比較的あわてなくてよい症状です。
理由のひとつは、下あごの成長です。下あごは思春期にかけて大きく成長するため、その成長を見てから判断できる部分があります。早い段階で上の前歯だけを動かしても、その後の下あごの成長によって状況が変わることがあります。
ただし、これは原因によります。年齢だけで一律に決められるものではありません。
下あごが後方に位置している、または成長が控えめなことが原因のタイプであれば、下あごの成長を見てから判断できるため、8歳ごろから検討を始めて十分に対応できることが多くなります。永久歯の前歯が生えそろい、あごの成長の方向もある程度見えてくる時期です。
一方、上あごの成長が十分でないことが関わっているタイプでは、話が変わります。上あごは下あごより早く成長が落ち着くため、待っていると働きかけられる時期を逃すことになります。この場合は、8歳より前から対応を検討したほうがよいことがあります。
同じ出っ歯でも、どこに原因があるかで適した時期は変わります。8歳からと一律に考えるのではなく、まず検査でタイプを確かめることが先になります。
これは、受け口とは対照的です。受け口は上あごの成長という時間の制約があるため、早い段階での対応に意味があります。同じ小児矯正でも、症状によって適した時期は異なります。子供の受け口の矯正|いつから始める?原因と治し方もあわせてご覧ください。
ただし、例外があります。前歯の突出が大きい場合です。
前歯が大きく前に出ていると、転んだりぶつかったりしたときに、前歯を打つリスクが高くなります。2015年に発表された、54件の研究をまとめた解析では、前歯の突出が大きい子供は、そうでない子供と比べて前歯のけがのリスクがおよそ2倍から3倍になると報告されています。
唇が閉じにくく、前歯が常に露出している状態も、けがのリスクを高めます。
活発に体を動かすお子さまで、前歯の突出が目立つ場合には、年齢にかかわらず一度ご相談ください。この場合は、見た目のためではなく、けがを防ぐという理由での早期対応になります。
相談することと、治療を始めることは同じではありません。
永久歯の前歯が生え始める6歳から7歳ごろに一度確認しておけば、どのタイプなのか、急いだほうがよいのか、経過を見てよいのかが整理できます。経過観察という選択肢も含めて計画を立てられるので、早めに相談していただくこと自体には意味があります。
開始時期の考え方については、小児矯正はいつから始める?開始時期の目安と一期治療のタイミングでも解説しています。

指しゃぶり、口呼吸、舌で前歯を押す癖が続いている場合、装置で歯を動かしても、同じ力がかかり続ければ元の方向に戻ろうとします。
そのため、癖への対応を並行して進めることが多くなります。鼻がつまっていて口を閉じられない場合は、耳鼻咽喉科での確認が先になります。
歯の傾きが主な原因の場合は、前歯の傾きを整える方向で計画します。取り外し式のマウスピース型装置を用いることもあります。
下あごの成長が控えめなことが関わっている場合は、下あごの成長を促す方向に働きかける装置を用いることがあります。上あごの前方への成長が強い場合は、その成長を抑える方向の装置が検討されます。
いずれも、あごの成長段階を見ながら計画するため、8歳前後からの検討が現実的になります。
出っ歯というと前後の問題として捉えられがちですが、上あごの幅が狭いことが背景にある場合もあります。
上あごが狭いと舌が収まる空間が足りず、舌が下がった位置にとどまります。すると上の前歯を内側から支える力が働かず、前に出やすい状態が続きます。永久歯が並ぶスペースも不足します。
この場合には、上あごの幅を整える固定式の装置を用いることがあります。上あごの真ん中を走る成長線に少しずつ力を加え、歯が並ぶ土台の幅そのものを整えていく装置です。歯が傾くのではなく根ごと動くため、動いた位置が保たれやすいこと、固定式で装着時間に左右されないことも特徴です。装置の詳細は急速拡大装置とは|効果・期間・床矯正との違いで解説しています。
一期治療で土台を整えたうえで、永久歯が生えそろってから細かく整える二期治療に進む場合があります。
出っ歯は、前歯の位置を精密に調整することが結果を左右するため、二期治療まで見据えて計画することが少なくありません。最初の段階で、その可能性も含めてご説明します。
前歯が閉じにくい状態が続くと、口の中が乾きやすくなり、虫歯や歯ぐきのトラブルが起こりやすくなることがあります。
前歯で食べ物をかみ切りにくい、サ行やタ行が発音しにくいといった場面が出ることもあります。
また、上下の前歯の間にすき間が残っていると、食べ物を飲み込むときにそのすき間を舌でふさごうとして、舌が前に出る癖がつくことがあります。この癖がつくと、今度は舌が前歯を押す力が加わるため、出っ歯の状態がさらに進みやすくなります。原因と結果が入れ替わって、悪循環になることがある部分です。
そして前述のとおり、前歯を打つリスクが高くなります。
ただし、これらがすべてのお子さまに起こるわけではありません。程度によって影響は異なりますし、成長の過程で落ち着いていくこともあります。不安をあおる情報も見かけますが、まずは状態を確かめることが先です。

| 主訴 |
|---|
| 前歯が出ているのが気になる。歯並びのガタつきが気になる。 |
| 診断名 |
| 上顎前突、叢生、過剰歯 |
| 年齢 |
| 8才11ヶ月 |
| 矯正装置 |
| 上顎:急速拡大装置(Fanタイプ) 下顎:リンガルアーチ 機能的矯正装置(FKO) |
| 治療期間 |
| 約3年 |
| 治療費(税込) |
| ※準備中 |
| 矯正管理料(税込) |
| 6,600円/回 |
| 通院ペース |
| 1ヶ月毎から4ヶ月毎 |
この症例で用いた上顎の急速拡大装置の仕組みや治療期間の目安は、こちらの記事で解説しています。

木場駅・東陽町駅からアクセスできるTHREE歯科・矯正歯科では、出っ歯についてご相談をいただいたとき、まず4つのタイプのどれにあたるのかを確かめます。骨が関わっているのか、歯の傾きによるものかで、必要な対応も適した時期も変わるためです。
早ければ早いほどよいという考え方はとっていません。受け口のように時間の制約がある症状もあれば、出っ歯のように成長を見てから判断したほうがよい症状もあります。焦って始めることが、必ずしもお子さまのためになるとは限りません。
ただし、前歯の突出が大きく、けがのリスクが高い場合は別です。この場合は年齢にかかわらず早めの対応を検討します。
当院では、厚生労働省認定の歯科医師臨床研修指導医であり、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会、日本小児歯科学会に所属する院長が、診断とご説明を担当します。院長の詳しい経歴や保有資格は院長プロフィールをご覧ください。
矯正は長い期間にわたる取り組みです。歯科医師だけで進めるものではなく、日々お子さまを見ている保護者の方、通ってくださるお子さま本人、そして医院のスタッフ。関わる全員で、お子さまのこれからを少しでも良い方向に向けていくものだと考えています。
なお、小児矯正は見た目や噛み合わせの改善を主な目的とする場合、健康保険の適用外となる自由診療です。一期治療の費用は数十万円程度が目安で、装置や治療範囲によっては50万円程度になることもあります。このほか、初診相談料や精密検査・診断料が別途必要になる場合があります。当院では治療開始時に基本料金をお支払いいただき、その後は通院ごとに処置料6,600円(税込)が加わる方式を採用しています。記載の金額は公開時点のものであり、変更となる場合があります。費用の詳細は子供の歯科矯正の費用・補助金・医療費控除ガイドをご覧ください。
治療には、装置装着後の違和感や痛み、歯みがきがしにくくなることによる虫歯のリスク、症状によっては二期治療が必要になる可能性などがあります。これらについても事前にご説明します。
子供の出っ歯は、上あごの骨の位置、下あごの位置や成長、上の前歯の傾き、下の前歯の傾きという4つのタイプに分けられます。原因としては、遺伝的な骨格の傾向に加えて、指しゃぶり、口呼吸、舌の癖などが関わります。
治療を始める時期については、下あごの成長を見てから判断できるため、8歳ごろから検討して十分に対応できることが多くあります。早ければ早いほどよい症状ではありません。
ただし、前歯の突出が大きい場合は、前歯を打つリスクが高くなることが報告されています。この場合は年齢にかかわらず早めにご相談ください。
急ぐ必要はありませんが、放置してよいという意味でもありません。永久歯の前歯が生え始める6歳から7歳ごろに一度確認しておくと、見通しを立てやすくなります。
木場・東陽町でお子さまの出っ歯が気になる際は、THREE歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
前歯が生え替わったばかりの時期は、実際より出ているように見えることがあり、その後落ち着くこともあります。下あごの成長にともなって前後差が縮まる場合もあります。一方で、指しゃぶりや口呼吸が続いている場合や、骨格が関わっている場合は、自然に整うことは期待しにくくなります。
原因によって変わります。下あごの位置や成長が関わっているタイプでは、成長を見てから判断できるため、8歳ごろから検討して十分に対応できることが多くなります。一方、上あごの成長が十分でないことが関わっているタイプでは、上あごの成長が早く落ち着くため、それより前から検討したほうがよいことがあります。また、前歯の突出が大きい場合は、けがのリスクを考えて早めに検討します。
症状によって適した時期は異なります。受け口のように上あごの成長という制約がある症状は早めの対応に意味がありますが、出っ歯は成長を見て判断できることが多い症状です。どのタイプにあたるかによって判断が変わるため、検査のうえでご説明します。
乳歯の時期にやめられた場合は、成長にともなって前歯の傾きが整っていくことが期待できます。永久歯に生え替わった後や、骨格が関わっている場合は、矯正治療での対応を検討することになります。
口が閉じにくい状態が続くと口の中が乾きやすくなり、虫歯のリスクが上がることがあります。前歯でかみ切りにくい、発音しにくいといった場面が出ることもあります。
また、上下の前歯の間にすき間が残っていると、食事のときに飲み込みながらそのすき間を舌でふさごうとして、舌が前に出る癖がつくことがあります。その癖が前歯をさらに押すため、出っ歯の状態が進みやすくなることがあります。
前歯の突出が大きいと前歯を打つリスクが高くなることも報告されています。ただし、影響の程度には個人差があります。
なお、治療の効果や適応には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるものではありません。記載した年齢の目安は一般的なものであり、最終的な判断は診察のうえで個別に行います。
Petti S. Over two hundred million injuries to anterior teeth attributable to large overjet: a meta-analysis. Dent Traumatol. 2015;31(1):1-8. 和訳:前歯の大きな突出に起因する2億件を超える前歯部の外傷。メタアナリシス https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25263806/
Doğramacı EJ, Rossi-Fedele G. Establishing the association between nonnutritive sucking behavior and malocclusions: A systematic review and meta-analysis. J Am Dent Assoc. 2016;147(12):926-934. 和訳:非栄養的吸啜行動と不正咬合との関連の確立。システマティックレビューおよびメタアナリシス https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27692622/

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